情報源は、Building Windows 8ブログの投稿[1]である。
要旨
- 使用状況の調査と分析
Windows 8 のタスクマネージャを開発するに当たり、カスタマーアンケートの結果とユーザから収集した情報を合わせ、Windows 7のタスクマネージャが使用されるシナリオを分析した。
- Windows 8 タスクマネージャには以下の三つの目的が定められた
- 使用される状況に合わせ情報表示を最適化する
状況1:特定のアプリケーションを探して閉じる
これは一般ユーザが使用することを想定している。
この状況では、サードパーティ製ツール(Process Explorerなど)のように詳細な情報を大量に表示してしまうと、ユーザを驚かせてしまう。
Minimalist experience なデザインが必要である。
状況2:リソース使用量を調べ、炎上しているプロセスを探してKillする
これはパワーユーザが使用することを想定している。
それぞれの状況に対応して、素早く効率的にプロセスを終了させるシナリオ(シナリオ1)、パフォーマンスの問題を診断するシナリオ(シナリオ2)が主なシナリオとして設定された。
シナリオに応じて最適な情報を提供することが必要である。
- モダンなデザインと機能面のゴールを達成する
情報デザインとデータ可視化に焦点を当てる。
シナリオの要請があるにもかかわらず、従来のタスクマネージャではカバーできずにリソースモニタやプロセスエクスプローラをユーザが別に起動していたような機能まで、ちゃんとカバーできるようにする。
- 従来の機能を損なわない
シナリオに沿ってタスクマネージャを作り変える際に、Windows 7まであった主流のシナリオから漏れてしまうマイナーな機能を損なうことが無いようにする。
- シナリオごとの設計への反映
設計に当たっては、設定されたシナリオが満たされるような機能が盛り込まれた。
また、情報の表示を確かめるため、アイトラッキングの技術を駆使して複数の表示方法をテストするなどの努力がなされた(参考元に動画あり[1]) - シナリオ1:素早く効率的にプロセスを終了させる
- 一般ユーザ向けの簡単なUI
- 「Fewer details」ボタンで表示
- 反応がないアプリケーションが分かる
- 無駄を省く。タブ、メニューバー、停止できないプロセスは表示しない
- アプリケーションの停止に当たり、意思確認のダイアログを表示しない
- シナリオ2:パフォーマンスの問題を診断する
- パワーユーザ向けの詳細なUI
- 「More details」ボタンで表示
- リソース使用量の順位がパッと見でわかるヒートマップ
- ネットワークとディスクの列を追加
- リソース使用量が閾値を超えると、リストのキーが着色される
- プロセスをアプリケーション、バックグラウンドプロセス、Windowsプロセスの三つのカテゴリに分けて一覧表示できる
- モジュールファイル名ではなく、分かりやすい名前で表示
- プロセスを右クリックすることで表示されるポップアップメニューからオンライン検索が可能
- アプリのトップレベルウインドウでサービスをグループ化して表示
- PIDごとにサービスをまとめて表示
感想
Windows 8が発売された当初は、Windows 7に比べて良い印象を持たない人が周りに多かった。
起動時の画面が見慣れたデスクトップからスタートに置き換えられたり、シャットダウン方法が分かりづらかったり、スタートが消えてなくなっていたりと、Windows 7に馴染んでいたユーザにとって戸惑うところが多かったと思う。
しかし、バージョンアップするということは、基本的に良くなっているはずなのである。
今回調べてみて、タスクマネージャについては、ユーザの視点に配慮した変更がなされており、非常に良い印象を持った。
正直に言うと、プロセスエクスプローラの方がタスクマネージャよりも高機能なのだから、プロセスエクスプローラについて調べ終えた今、タスクマネージャについて調べる必要があるかどうか疑問に思うところがあった。
予定として調べると書いてしまった[2]ため、仕方なく調べたのである。
結果として、調べてみて良かったと思う。
調べる中で、従来のバージョンの使用状況を分析し、ユーザが使用するシナリオを練り直し、機能面や情報の表示でテストをしっかりとやるというソフトウェア開発の流れが良く分かったからだ。
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